日本の祭り3

左義長祭(

1)日牟礼八幡宮(ひむれはちまんぐう)の左義長祭
  (滋賀県近江八幡市宮内町、3月第3土・日曜日)

近江八幡市/観光情報/まつり・歳時記/左義長まつり
http://www.city.omihachiman.shiga.jp/
日牟礼八幡宮ホームページ
http://www5d.biglobe.ne.jp/~him8man/

 近江八幡の左義長まつりは、織田信長の時代から、町の若衆が女装して山車をかつぐという形で現在も引き継がれる奇祭として知られています。

 安土城下で毎年正月に盛大に行われ、「信長公記」には、弘治2年、近江八幡の津島神社の祭礼で踊りを興行し、信長、自らが天女をイメージした女装で「天人踊」を披露したという記述が記されています。信長亡きあと豊臣秀次が八幡山城を築き、安土から移住した人々を中心に、天正18年、八幡町が開町されました。既に4月に行われていた氏神日牟礼八幡宮の例祭「八幡まつり」の荘厳さに驚いた町民は、これに対抗して3月に左義長を八幡宮に奉納するようになったと伝えられています。

 左義長は、新藁で美しく編んだ約3メートルの三角錐の松明の上に数メートルの青竹を立て、細長い赤紙や薬玉、巾着、扇などで飾られます。左義長の中心には意匠をこらした「だし」が据え付けられます。「だし」はその年の干支にちなんだものを海産物や穀物等の食物で作り上げられます。

 左義長の担い手は踊子(おどりこ)と呼ばれます。踊子は老若男女を問わず、変装・女装も自由となっています。氏子66ケ町のうちで、町または区ごとに左義長を奉納しますので、同じ左義長を奉納する者は、揃いの踊半纏(おどりはんてん)を着るのがならわしです。男も化粧し、手には拍子木を持ち、紅白の鼻緒の下駄を履いて「チョウサ、ヤレヤレ」「チョウヤレ、ヤレヤレ」と声をかけ合い担ぎ踊る姿が、奇祭と呼ばれる1つの所以ですが、最近は、女装姿は減ってきているようです。

 十数基の左義長が、二日間にわたり町内を渡御(巡行)した後、2日目の午後8時、境内に揃った左義長に、一斉に奉火されます。

2)勝山左義長祭(福井県勝山市、毎年2月の最終土・日曜)

勝山市役所の左義長ホームページ
http://www.city.katsuyama.fukui.jp/kankou/sagityo/top.htm
ちずちゃんのホームページ
http://www2.interbroad.or.jp/chizuko/sagi.htm

 小笠原公(お作法で有名ですね)が、江戸時代に勝山に入封以来(1691年)300年以上の歴史をもつ、五穀豊穣と鎮火を祈願する祭です。

 祭りでは、各町内ごとに櫓(ヤグラ)を建て、1日目は各町内の櫓の上で、女装した(とはいっても、女物の襦袢を着ているだけですが)浮男が、夜半まで三味線や笛・鉦に合わせて左義長ばやしの太鼓を打ち込みます。2日目の夜は九頭竜川原で各町内の御神体に一斉点火する「どんど焼き」が行われ、炎の燃え上がる高さでその年の豊凶を占います。

 「太鼓櫓」は総檜作りで、市内全部で12基あり、本体は大きいもので幅約4メートル、高さ約6メートル。櫓は入母屋造りで、2階の舞台で左義長太鼓が披露されます。赤い長襦袢姿の女装は、かつて遊郭街があり、左義長祭りの中心となった若い衆が遊女の長襦袢を着たまま櫓に上がったのが始まりという説があります。

 日牟礼八幡宮(ひむれはちまんぐう)の左義長祭、勝山左義長祭どちらも女装とはいうものの、どちらかといえばかぶきもの、現代で言うならビジュアル系のようなかんじですね。


※ 左義長祭

 一年の始めにあたり、穢(けがれ)を祓い清めて、暖かい春の到来とその年の豊かな収穫を祈る行事です。正月15日前後に行われ、正月の松飾りや注連縄(しめなわ)を集めて焼く火祭りの行事で、この火にあたると若返るとか、餅を焼いて食べると病気をしないとか、書初(かきぞめ)をかざしてそれが高く舞い上がると書が上手になるなどともいわれています。
 ほぼ全国的にみられ三毬杖・三木張・三毬打・爆竹とも書きますが、地方によって、どんど焼、さいとやき、三九郎焼(さんくろうやき)、ほちょじ、ほっけんぎょうなどの名称で行われています。

 もともとは中国から来たもので、漢の時代から正月行事として行われていた爆竹が元と言われています。平安時代の宮中では、清涼殿(せいりょうでん)の東庭で青竹を束ねて立て毬杖(ぎちょう)三個を結び、その上に扇子(せんす)や短冊(たんざく)などを添え、陰陽師(おんみょうじ)が謡(うた)いはやしながらこれを焼く「左義長」という行事がありました。その語源には鞠杖(ぎちょう)(毬(まり)を打つ長柄の槌)に由来するとする説や、鳥追い行事との関連で鷺鳥(さぎちょう)の意味だとする説などがあります。

    

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