2-3 着付のポイント

  • 帯の位置
 一般に、若い人は、帯の位置を高くしますが、帯だけを高くすると、かえっておかしいので、全体のバランスに気をつけます。
  • 帯幅
 礼装のときは、帯幅を広くすると、優雅で華やかになります。普段は、身長にもよりますが、帯幅半分ぐらいです。
  • 帯締めの位置
 年齢間わず、帯幅の中心で結ぶのが一般的です。中心より、やや低めは、粋な感じになり、高めでは、野暮になります。
  • 帯揚げ
 礼装のときは、よく見える位が、華やかな胸もととなります。普段は、好みによりますが、のぞく位が粋な感じを与えることが多いようです。
  • 帯結びの位置
 振袖など、若い人の結びは、高めが華やかになります。
 お太鼓も、礼装では高い位置に大きめに結ぶと、豪華なきもの姿になりますが、一般の場合は、年齢や着るきものにより、礼装着より小さめと心がけて結ぶのが無難です。
 お太鼓のたれの長さも、礼装用では、普通のときより気持ち長めにします。
  • えもん
にゆかたや礼装は大きめに抜きますが、大きすぎるのは、一般には品格を落す感じになります。
  • 半衿の出し方
 礼装や個性的おしゃれの場合は、ゆったり合わせ半衿を多めにすると、優雅に華やかに見えます。
  • きものの衿幅
 普通には自然幅で良いのですが、衿幅を広くすると、礼装のときは優雅、華やかになり、普通のときには老け気味になります。衿幅が細いと活動的で、地味なきもののときは、若く見える装いとなります。
  • おはしょり
 一般的に5センチくらいの長さが良く、礼装では、帯やきものの模様や帯幅により、普通より長めにします。
  • 衽線(おくみせん)
 おはしょりと下前の線が揃うようにします。
  • 裾線(すそせん)
 礼装では、草履の高さにもよりますが、足袋が1センチ位見える位置。ゆかたの場合は短めが、涼しげで良いようです。
  • 背縫い
 腰紐をした上部の背縫いは、背筋まっすぐに揃っているようにします。腰紐から下の線は、体型によりやや右よりが、普通です。
  • 棲(つま)
 ちりめん、りんず地の礼装では、下前を裾から約15センチ、20センチ上げ、上前は下前の約半分を上げて着ると裾が美しく、歩き良くなります。
  • 足袋
 足袋は、靴のサイズより0.5センチ少ないものが、足にぴったりとします。はじめ窮屈でも足の温もりが足袋に伝わりますと、次第に楽になりすっきりとした足元になります。

(1)体型別

背の高い人の着付け

 背が向い人には大きな柄のきものが似合います。きものの柄の大きさに視線が集まると、背の高さが気にならなくなるのです。反対に小さな柄では背の高さを強調してしまいます。

背の低い人の着付け

 着物の色柄は全体に淡い色で、小紋などの小さい柄が縦に流れるものが似合います。
 帯は着物と同系色にまとめ、全体に統一感があるほうが背を高く見せます。

  背の高い人 背の低い人
衿廻り ・衿合わせは喉のくぽみぎわでふっくらと
・衿幅はふつう
・半衿は約1.5センチ出す
・衿合わせはつめ加減に
・衿幅は細めに出す
帯廻り ・前の帯はやや広めに、やや低めに締める
・帯揚げはふつうに出す
・お太鼓はふっくらと丸く大きく作り、たれも長めに出す
・おはしょりはやや長めに
・帯は幅を狭くして、やや胸高に締める
・帯揚げはふつうに出す
・帯締めは中央にまっすぐに
・お太鼓はこぢんまりとたれも短く
・おはしょりは少なめ(5センチまで)に出す
裾廻り ・裾は短めに決める ・裾は足袋が隠れるくらいに長めに決める
・自然な裾つぽまりに

太っている人の着付け

 濃いめの色で曲線の柄を選ぶと全体に引き締まって見えます。帯とのコントラストが低いとかえって太って見えてしまうので、着物の色の濃淡でうまく調和させましょう。

やせている人の着付け

 ふくよかな雰囲気のある色柄の古物を選びます。淡い色や暖色系で、縦に流れる模様が全体にふくらみをもたせます。
 やせている人は着付ける前に補整をして、からだ全体に丸みのある線を作ることが大切です。

  太っている人 やせている人
衿廻り ・衿合わせは首から離れるくらいにゆったりと
・衿は広めに
・半衿は多めに出す
・衣紋は大きめに抜く
・衿はきっちりとして首から離さないようにつめる
・半衿は細めに出す
・衿幅はふつうに
・衣紋は丸みをつけて抜く
帯廻り ・前帯幅を広めにし、低めに締める
・帯揚げは少し出しシャープに
・帯締めはやや下に斜めに締める
・お太鼓は小さめに、帯山も低めに
・たれは長めにやや斜めに出す
・おはしょりはやや長く、舟底型に整える
・前の帯幅はふつうにして心持ちゆるめに締める
・帯揚げは多目にふっくらと出す
・帯締めは中央に一文字に
・お太鼓は丸みを強調たれはまっすぐ
・おはしょりは少なめ(4〜5センチ)に出す
裾廻り ・裾は上げ気味にして、裾つぼまりを強調 ・裾はあまりつぼめない

背が高く、ふくよかな人の着付け

大柄な体型の人はモダンな着こなしが調和します。着物は大きな柄や縦縞、濃い色のものが全体を引き締めます。バストやヒップが目立つ場合は、部分的に補整します。

背が低く、細身の人の着付け

 全身に丸みをもたせることがポイントです。暖色の淡い色で小さい柄や小紋を。着物と帯を同系色でそろえて、帯締めにポイントを目立たせると全体に丸みが出て、背の低さも気になりません。

  背が高く、ふくよかな人 背が低く、細身の人
衿廻り ・衿元はゆったりと
・衿幅はやや広めに
・衣紋は」字型にたっぷり抜く
・半衿は太めに出す
・衿合わせはつめ加減
・衣紋はあまり抜かない
・衿は細めに
帯廻り ・前の帯幅は広くやや低めに締める
・帯揚げは分量を少なめにして、直線的に出す
・お太鼓は大きめに
・おはしょりはやや長く、舟底型に
・帯は高めに締める
・お太鼓は小さめに形をとり高めに
・おはしょりは細めに
・腰回りをゆったりと
裾廻り ・裾はやや短く、裾つばまりを強調 ・裾は長めにし、褄は上げない

(2)ミスとミセス

ミスの着付け

 ミスの着付けは初々しさを大切に。

ミセスの着付け

 しっとりとした落ち着きがミセスの装いの持ち味です。衿元や帯の位置にミスとの違いが現れます。

  ミス ミセス
衿廻り ・衿合わせはのどのくぽみが見えるくらいに、浅めに
・半衿はたっぷり出す
・衣紋はこぷし1つくらいやや控えめに
・衿合わせはのどのくぼみから1センチほど下げて、やや深めに(ただし、あまり下げすぎると品がなくなる)
・半衿は出しすぎない
・衣紋はこぷしひとつくらいややゆったりと抜く
帯廻り ・帯は高めに幅やや広く締める
・帯締めは帯の中央に
・帯揚げは多目に出す
・お太鼓は大きめに、やや丸い形に
・おはしょりは体型に合わせて
・帯の高さは年齢とともに低く
・帯締めは帯幅の中央よりやや低めに
・帯揚げはやや控えめに
・お太鼓は大きすぎないように、形は年齢とともに四角く
・おはしょりは体型に合わせて
裾廻り ・裾の高さ、つばまりは体型に合わせて ・裾の高さ、つぼまりは体型に合わせて

(3)衿合わせ

(4)えもん

  

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