1 TPO

 1-1 行事ときもの

 きものは、素材や模様、柄の置き方などによってフォーマルな場面で着るものとカジュアルな場面に着るものに分かれます。
 きものの格に合わせて、着こなしを楽しみましょう。

  黒留袖 色留袖 振袖 訪問着 色無地 喪服 小紋 ゆかた
結婚式 × × × ×
披露宴パーティ × × ×
不祝儀 × × × × × × ×
観劇 × × ×
旅行 × × × × ×
街着・外出着 × × × ×
お茶会 × × × ×
初詣 × × ×
夏祭り × × × × × ×

 1-2 季節ときもの

 季節によって大きく3つに分かれます。

1. 袷のきもの

 袷とは裏をつけて仕立てた(表地に胴裏と八掛をつけて仕立ててある)きもので、春、秋、冬(10月〜5月まで)が袷を着る期間です。寒い間はその上から羽織を着ます。
 袷には、冬帯(一般に売られている帯を合わせます。)

2. 単衣のきもの

 単衣は裏をつけないで仕立てるきもので、6月、9月に着ます。
 生地は袷と同じですが、色や柄は軽やかで涼し気なものになります。
 6月のように夏に向う単衣の時は夏帯(絽・紗・羅等)
 秋に向かう9月の単衣は、その年の寒暖にもよりますが、お彼岸ぐらいになれば冬の帯の方がよいでしょう。

3. 薄物のきもの

 透けて見える絽や紗や麻のきものを薄物といい、盛夏の7月、8月に着ます。
 帯も夏帯と呼ばれる、薄い帯をしめます。

4. 小物

 帯揚げ・帯締めは、帯に合わせます。
 帯が冬物であれば帯揚げ・帯締めも冬物。帯が夏物であれば、絽や紗の帯揚げ、細組やメッシュになった帯締めをしましょう。

夏帯

 6月から9月中は、単の季節で帯も夏帯です。
 絽や紗の袋帯は、夏の礼装や略礼装用です。絽や紗の九寸なごや帯と同様、社交着に袋帯を締めることも多いようです。絽綴は夏ものの綴織で、羅または羅織風の夏の袋なごや帯は、絽や紗、麻織物、夏大島などのきものに合わせる盛夏用です。
 博多織の単帯は独鈷や縞が有名ですが、紗献上とよぶ透ける地風の博多帯もあります。
 絽地の袋なごやは、5月下旬から9月中旬頃まで締めるしゃれ帯です。麻地の帯は7月、8月のものです。
 ゆかたには半幅帯や、結び上げた付け帯の軽いものを使います。

 1-3 着物と帯

 帯に合わせて着物を選ぶか、着物に合わせて帯を選ぶか、いずれにしても、美しいきもの姿に帯のコーディネートはとても大切なものです。
 帯にも染めと織りがあり、留袖、訪問着、付け下げ、小紋、紬など、きものの種類に応じた帯をコーディネートすることで、一段と格調高い装いにしたり、お洒落っぽい装いを演出したりできます。
 帯の格は、その形(織り方、仕立て方)と、地風(組織)、柄の種類によってきまります。織りの技法によるものを織帯、染の技法で柄を表したものを染帯とよびます。特に織帯は種類も需要も多く、日本の伝統的な織の技法のほとんどが、織帯に生かされています。

 昔から「染めのきものには織りの帯、織りのきものには染めの帯」といわれるように、織帯は金糸銀糸をはじめ、さまざまな色糸を使って、格調高い文様を織り出したものが多く、一方、染帯は生地に自由な柄を描いて、季節感や遊び心を醸し出しているものが多いことから、織帯は礼装の留袖、訪問者、略礼装の付け下げに合わせ、小紋や紬などのカジュアルなきものには染帯を合わせるのが一般的です。
 しかし、実際は織帯にもフォーマル用とカジュアル用があり、染帯にもややフォーマルな装いにふさわしいものと、カジュアルなお洒落着に向くものとがあります。

 フォーマルな織帯の代表は留袖や訪問着に合わせる袋帯です。
 数々の色糸できらびやかに織られた錦織り、箔使いの美しい佐賀錦、柄を緻密に織り出した綴織り、重厚な質感の唐織など伝統的な技法があります。柄も名物裂の文様、正倉院御物の文様、花鳥風月など格調高く、二重太鼓に結びます。
 カジュアルな織帯には小紋や紬のきものに合わせる名古屋帯、袋名古屋帯、半幅帯などがあります。
 袋帯と同様の格調高い柄の織りから、ざっくりした紬織りで楽しい柄を織り出したものまで多種多彩ですが、一重太鼓で気軽に締められ、お洒落の幅の広いカジュアルな織帯はきものには欠かせません。

 また、きものにTPOがあるように、きものの小物も、きものの格や季節にふさわしいものを選ぶ必要があります。

  
着物
帯結び
帯締め
帯揚げ
礼装
花嫁衣装 丸帯 立て矢・檜扇など 白紋綸子・白絞り 白紋綸子・白絞り
本振袖
黒留袖
色留袖
織りの袋帯 ふくら雀・由縁など
二重太鼓
金地丸ぐけ・金銀組紐
白丸ぐけ・金銀組紐
色物総絞り
白紋綸子・白絞り
喪服 黒袋帯 二重太鼓 黒丸ぐけ・黒組紐 黒羽二重・黒綸子
略礼装
色留袖
中振袖
訪問着
色無地
江戸小紋
付下げ
織りの袋帯・名古屋帯 一重太鼓
ふくら雀・文庫など
金銀組紐・佐賀錦
金銀・ぼかしの丸組み
白絞り・金銀箔入色物総絞り
色喪服 袋帯
名古屋帯
一重太鼓 黒・白の平打ち 黒・白の綸子
外出着
付下げ
色無地
江戸小紋
小紋
絣・紬
織り・染めの袋帯
名古屋帯
袋名古屋帯
一重太鼓・角出し
花文庫・矢の字など
組紐 とくに決まりなし
街着
小紋
絣・紬
浴衣
ウール
名古屋帯
袋名古屋帯
半幅帯
一重太鼓・貝の口など 控えめな組紐 とくに決まりなし

 1-4 帯結び

帯結び
お太鼓結び
一重太鼓
名古屋帯
主に小紋、織りの名古屋帯は略礼装にも可
二重太鼓
名古屋帯・袋帯
留袖や訪問着などミセスの礼装向き
かわり結び
お太鼓系
名古屋帯・袋帯
  
文庫系
袋帯
主にミス向け
浴衣
典雅帯ならフォーマルにも可
細帯・踊帯
幅が細く、種々の変わり結びが楽しめます

 1-5 色の調和

 色の取り合わせには、別に基準・しきたりのようなものはありませんが、その人の好みによって上品にも、粋にも、またモダンにも、渋くも表現できますから、いろいろ試して自分に似合う色を探してみて下さい。

同系色の濃淡

 間違いのない色合わせで品のいい合わせ方ですが、単調になり易いので、材質で差をつけたり、または帯じめでアクセントをつけるとさらに上品になります。
〔例…ブル−のきものに紺の帯、黄地色のきものに茶の帯〕

淡い色と濃い色

 反対色でまとめる方法、いちぱん無難ですが、美しく調和する色を選ぷことが必要です。
(例…白地のきものにえんじ系の帯、紫のきものに銀箔の帯)

濃い色と濃い色

 モダンな組合わせになり、個性的な人によいと思います.
(例…濃いワインのきものに黒地の帯、赤朱のきものにもえぎの帯)

淡い色と淡い色

 上品な柔らかい感じですから、おとなしいタイプの人に似合います。
(例…ピンクのきものに白地の帯、若草色のきものにうす茶の帯)

  

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